【数列】3項間漸化式の数学的帰納法(一昨日帰納法)|普通の帰納法は使えない

高校数学

みなさん、どうもこんにちは。今回は、3項間漸化式の数学的帰納法を紹介します。

3項間漸化式の数学的帰納法とは

3項間漸化式の数学的帰納法とは、3項間漸化式のときに使われる数学的帰納法になります(そのまま)。例えば、一つの式中に\(a_n,a_{n+1}、a_{n+2}\)が登場する漸化式を証明する際に、3項間漸化式の数学的帰納法を使います。3項間漸化式のときは、普通の数学的帰納法では絶対に証明することができないため、3項間漸化式用の数学的帰納法(普通の帰納法とは異なる特別な帰納法)を使う必要があります。

普通の帰納法では証明できない

まず、普通の帰納法では証明できないことを理解しましょう。3項間漸化式の数学的帰納法を使う問題、例えば、次のような問題です。(つまらない問題ですが、お付き合いください)

例題1

数列\(\{a_n\}\)を次のように定める。

$$ a_1=a_2=1,a_{n+2}=a_{n+1}+a_n $$

このとき、全ての\(a_n\)が自然数であることを示せ。

例題1の漸化式は3項間漸化式です。このような漸化式は普通の帰納法では絶対に証明できません。普通の帰納法とは

(I)\(n=1\)に成り立つ
(II)\(n=k\)のときに成り立つとしたら,\(n=k+1\)のときでも成立

というものです。これは普通の2項間の漸化式では使えるのですが、3項間漸化式では使うことができません。

例題1を見てもらいたいのですが、普通の帰納法では、\(k+1\)のときに自然数であると仮定しても、\(k+2\)のときに自然数であることは分からないのです。なぜならば、\(a_k\)が何なのか、分からないからです。

では、どのようにすれば証明できるのでしょうか?

3項間漸化式の数学的帰納法の方法

3項間漸化式の数学的帰納法では、\(n=k\)と\(n=k+1\)のとき成り立つと仮定して、\(n=k+2\)のときも成立することを示せば良いです。イメージ的には下図のようになります。前の二つを仮定して証明することから、一昨日帰納法と呼ばれることがあります。

3項間漸化式の数学的帰納法についてまとめると、次のようになります。

3項間漸化式の数学的帰納法

(I)\(n=1,2\)のとき成立する

(II)\(n=k,k+1\)のとき成立すると仮定すると,\(n=k+2\)のときも成立する

\(n=k\)と\(n=k+1\)の2つを仮定することがポイントです。

3項間漸化式の数学的帰納法

では、実際に例題を解いていくことにしましょう。

例題1:3項間漸化式の数学的帰納法

導入部で使ったつまらない問題ですが、もう一度考えてみることにします。

例題1

数列\(\{a_n\}\)を次のように定める。

$$ a_1=a_2=1,a_{n+2}=a_{n+1}+a_n $$

このとき、全ての\(a_n\)が自然数であることを示せ。

問題で与えられている漸化式は3項間漸化式ですから、下記に示す3項間漸化式の数学的帰納法(一昨日帰納法)の手順に従って証明していきましょう。

方針:3項間漸化式の数学的帰納法

(I)\(n=1,2\)のとき成立する
(II)\(n=k,k+1\)のとき成立すると仮定すると,\(n=k+2\)のときも成立する

解答1

数学的帰納法を用いて証明する。

(I)\(n=1,2\)のとき
問題文の条件より,\(a_1=a_2=1\)であるから,\(n=1,2\)のとき自然数である。

(II)\(n=k,k+1\)のとき
\(n=k,k+1\)のとき,すなわち\(a_1,a_2\)が自然数であると仮定する。\(n=k+2\)のとき,すなわち\(a_{k+2}\)は,問題文の漸化式\(a_{k+2}=a_{k+1}+a_{k}\)より自然数である。

以上より,全ての\(a_n\)が自然数であることが示された。

このように、二つ前を仮定して、証明していきます。

演習1:3項間漸化式の数学的帰納法

大学入試の過去問題を用いて演習していきましょう。

演習1

数列\(\{a_n\}\)を次のように定める。

$$ a_1=1,a_2=3,a_{n+2}a_n=2a_{n+1}^2 $$

このとき、全ての正の整数\(n\)について,\(a_n\)は正であることを示せ。

(東北大 改)

演習1の答え

数学的帰納法を用いて証明する。

(I)\(n=1,2\)のとき
問題文の条件より,\(a_1=1,a_2=3\)であるから,\(n=1,2\)のとき正である。

(II)\(n=k,k+1\)のとき
\(n=k,k+1\)のとき,すなわち\(a_1,a_2\)が自然数であると仮定する。\(n=k+2\)は

$$ a_{k+2} = \displaystyle \frac{2a_{k+1}^2}{a_k} $$

であり,これより\(a_{k+2}>0\)だから,\(n=k+2\)のときも正である。

以上より,全ての正の整数\(n\)について,\(a_n\)は正であることが示された。

入試頻出の3項間漸化式の数学的帰納法

ここからは、入試頻出の3項間漸化式の数学的帰納法について紹介します。次の2タイプが非常によく出ます。

頻出:3項間漸化式の数学的帰納法

① \(\alpha+\beta\)型

② 三角関数型

上記の2パターンは式変形が必要なので、少し難しいです。

α+β型

\(\alpha+\beta\)型は次の式変形を使って、3項間漸化式を作り、帰納法で証明していきます。

$$ \alpha^{n+2}+\beta^{n+2}=(\alpha+\beta)(\alpha^{n+1}+\beta^{n+1})-\alpha\beta(\alpha^n+\beta^n) $$

詳しくは次の記事で扱っています。

三角関数型

三角関数型は次の式変形を使って、3項間漸化式を作り、帰納法で証明していきます。

$$ \cos{(n+2)\theta} = 2\cos{\theta}\cos{(n+1)\theta}-\cos{n \theta} $$

詳しくは次の記事で扱っています。

おわりに

今回は、3項間漸化式の数学的帰納法について、紹介しました。理解してしまえば簡単なので、得点源になりやすいです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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